いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
 
案じながら、わたしは一息に改札へと階段を駆け降りていったんです。
「やられたわ! あいつら、ひどい連中のすることよ」
 後ろから、追いかけるように婦人の声が聞こえていました。わたしの腕をとらえようとした人もいます。でも、わたしは捕まるわけにはいかないんです。捕まれば、果林のことを知っていることをどうしても隠せそうにありません。わたしは、なぜだか赤面しながら彼女の名前をつぶやいてしまいそうに思えました。
 そして無事に……、無事にというか、そもそもわたしにはなんの関係もないのですが、数分後には、わたしは何心なくブティックの並ぶ茶屋町の通りを歩いていました。


「果林、あなただったんでし
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