いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
たし? 果林」
「わたしは茜」
「それで、何を作っているの」
「教えない」
「聞かないわ」
三度目に果林に会ったのは梅田の駅でした。阪急電車から降りたわたしは、中央階段を二階へ下りてゆこうとしていたんです。
「泥棒!」と、どこかから声がかかりました。そして、突然わたしのそばを誰かがすりぬけてゆくのをわたしは見ました。
「そいつを捕まえて」と、太ってひどく醜い婦人がわたしのまえから走って近づいてきました。
わたしは急いで後ろをふり向くと、わたしをかすめて去っていったのは果林でした。そして、婦人から追われているのも彼女なのでした。
わたしは「あっ」と思って足を出しました
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