いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
「わたしの曲よ」
そのときにわたしのクロック・マダムがやってきました。
「どうぞ。邪魔しないわ。いいから食べて」
「なんだか逆みたいね」
「人間の立場なんてあいまいなもんよ。どうでもいいようなものだわ。ほら……あれ。あの外を歩いている人たち。あの人たちは、あなたにとってなにかの意味がある?」
「いいえ。ないわ」
「ないの?」
「もちろん。ぜんぜん」わたしは当り前のように冷めた表情で、彼女のあとから窓の外にある通りを眺めました。
「わたしにはあるの。わたしには無意味じゃないの」
わたしは、わたしのクロック・マダムをかじりました。それから彼女の名前を聞いてみました。
「わたし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)