いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
 

「わたしの曲よ」
 そのときにわたしのクロック・マダムがやってきました。
「どうぞ。邪魔しないわ。いいから食べて」
「なんだか逆みたいね」
「人間の立場なんてあいまいなもんよ。どうでもいいようなものだわ。ほら……あれ。あの外を歩いている人たち。あの人たちは、あなたにとってなにかの意味がある?」
「いいえ。ないわ」
「ないの?」
「もちろん。ぜんぜん」わたしは当り前のように冷めた表情で、彼女のあとから窓の外にある通りを眺めました。
「わたしにはあるの。わたしには無意味じゃないの」
 わたしは、わたしのクロック・マダムをかじりました。それから彼女の名前を聞いてみました。
「わたし
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