いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
フォクシー・モデルの眼鏡をちょっとはずして彼女を見つめました。そのときにボーイがカフェオレをもってきました。
「それはなに?」
「紅茶」
「ちがうわ」
「他にはなにも注文してないよ」
「ちがうわ。あなたがいま手にかけているものよ」
「なに? ペン……」
「ちがうわ」
「ノート」
「ちがうわ」
「外をながめているわたしの目」
「ちがうわ」
わたしは微笑をこらえて、意地悪く彼女を見かえしました。
「ちょっとなにかしらの意味を持たされた記号の集団……」
「ちがうわ。あ、いいえ。ちがわないかもしれない」
「これ? 音楽よ。つまらない音楽。高尚な音楽」
「どっちなの」
「
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