鏡像(4)「あだっちゃん」?/リリー
まだ日暮れには早いけど外にいると冷えるから
おばあさんがアタシのために縁側の下に
段ボール置いて 敷いてくれているプランケットへ
戻ることにするわ
午前中の雨で湿気った雑木林の蔭から
車道渡って土手のわき道へ入って来る若い女性を見つける
サバトラ猫の鈴ちゃん
あら、今朝の寮母さんだわ!
どんな一日だったのかしらね?
×××
「皆さん、お早う御座いますぅ!」
老人ホームの二階、午前七時
廊下を通り過ぎていく寮母である私の声に
耳を傾ける入居者達
「今朝は、あだっちゃんのソプラノやなぁ。」
「おはようさん!」
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