鏡の中の鏡――アルヴォ・ペルトに寄せて/積 緋露雪00
Minimal musicの傑作といってもいい
エストニアの現代作曲家アルヴォ・ペルトの「鏡の中の鏡」は
多分、誰もが一度はしたことがあるだらう合はせ鏡に映る
永劫の尻尾を見るやうな蜿蜒と続く鏡を音楽にしたものだが、
その音楽はブライアン・イーノにも通ずる
静謐な響きが夙に美しい旋律で紡がれてゐる。
そもそも音楽は時間の芸術といはれてゐるが
この「鏡の中の鏡」はMinimal music特有の
一聴すると同じやうな旋律が蜿蜒と続くだけの
退屈な音楽に思はれるかもしれぬが、
そこはペルト、一筋縄ではいかぬのだ。
美しい旋律の反復に
少しづつ小さな差異が現れながら展開する。
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