日記、メモ/由比良 倖
しみ深さを感じる。その世界には、光と水と影が同時に含まれていて、柔らかでふんわりしているようにも聞こえるのに、同時にとてもくっきりとした彼女の心の確かさを感じる。
ギターの音が景色だとしたら、彼女の声は、そこに吹く風や、鳥や、草や、動物や、悲しさや優しさ、生と死、などを率直に物語る、音楽の世界にずっと前から住んでいる語り部みたいだ。そして、物語りながら、全てに命を与え、聴き手にまっすぐ届いてくる風のようだと思う。そして、僕にとって(個人的に)大事なのは、彼女の音楽は幻想的なのに、その歌からは、生きていて、生活している彼女自身の声を感じるところだ。
……青葉市子の歌については、僕にとって
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