のらねこ物語 其の二十五「如月の雪」/リリー
く閉じており
今にも あぶくを一つ
ウトウト夢から覚めるかの様であったのだ
「ほおっ、これは!い、いや見事な、眠り金魚でございますなあ!」
主人は目を見張リ驚いた
「あなた様が、あの左甚五郎様で!いえ、まったく存じませんで
この様な部屋に!」
と、深々頭を下げる主人は
「で、如何程で…お譲りいただけますのでございましょうか?」
「おや、先ほどまで、おてんとうさまが出ておりましたのに。
おかしな天気になりましたなあ。」
窓から庭を見る甚五郎
「如月の雪でございますね。」
庭に降り始めた雪を 吊られて眺め見る主人
「それでは、これ
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