三文芝居の夜/ホロウ・シカエルボク
 

一日中、降っては止みを繰り返した雨に濡れた街が、僅かな街灯の明かりに照らされて終末のようだ、新しい靴のソールは穴だらけの歩道の水溜りを完全に拒んだ、俺はそれをいい兆候だと感じていたんだ、風が弄るみたいに四方八方から吹き付けていて、そいつが俺とすれ違う時に世界の音を一瞬全部消してしまうせいで、ろくでもないことばかりを思い出しそうになって歯痒い思いをしていたのさ、もちろんそれはもう本物の記憶ではない、その時々の感情によって適当に塗り替えられてしまっている、まだ早い時間なのに車の流れが完全に途切れる時間があって、そのたびに世界はもう終わってしまったのだと勘違いする、それが予知なのか願望なのか、どちら
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