のらねこ物語 其の十八「金魚の掛け軸」(三)/リリー
おゆうは煎餅布団を敷くと布団に入り
後から女中部屋に上がって来た おりんに言ってみた
「あのさ、あの衣装箱の掛け軸、…。
旦那様と奥様にお話しして、お見せしてみない?」
翌日 昼を回って
旦那様のお部屋へお茶をお持ちした おゆうと
並んでお話ししてみる おりん
「これこれ!お前たち、主人のわしを揶揄うでないぞ。
そんな事、あるわけなかろう!」
頭から相手にされなかった
すると廊下で たまたま立ち聞きをした奥様は
「あなた、でもちょっとこわくて面白い話じゃありませんこと?」
試しに居間へ掛け軸を吊るしてみたらどうか
という事になったのだ。
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