のらねこ物語 其の十一「男はつらいよ」(三)/リリー
期限の延長を願い出る。すると米問屋の若旦那が交渉を
持ちかけた。
「それじゃあ、ご主人の愛猫タマを貰い受けましょうかね。
どうですか?それなら、無利息にしても良いんですよ。」
よろこんだ主人、しぶしぶタマを手離すことにしたのだった。
「日本橋なら遠くはないが…。そんな豪商屋敷に貰われたんじゃ、
もう会えないよなぁ。」
タマは首輪の鈴をギュッと握り
引きちぎると
「これ、私だと思って大切にして。あんたのこと、忘れないわ。」
手渡されたトラは
「俺だって。ずっと、愛してる。タマ…幸せになるんだよ。
俺の分も、幸せになってくれ
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