なまえ (overwriting)/中田満帆
つに乗り込むんだ
無名の一市民として、
そして列にならんで検品される
終わらない恐怖や、
過去への執着なんかと一緒くたにされ、
わたしはまたしてもきみのかげを追いかける
わたしはきみを上書きしたい
けれどもそれに似合った存在がいない
いや知らないだけでどこかにいるはずだ
でもそれに出会うのはとても怖ろしいことで、
とりあえずは長い悪友──アルコールを使って、
静かな眠りへと階を降りることにしよう
きみにさよなら、
きみにありがとう。
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