なまえ (overwriting)/中田満帆
 
つに乗り込むんだ
 無名の一市民として、
 そして列にならんで検品される
 終わらない恐怖や、
 過去への執着なんかと一緒くたにされ、
 わたしはまたしてもきみのかげを追いかける
 わたしはきみを上書きしたい
 けれどもそれに似合った存在がいない
 いや知らないだけでどこかにいるはずだ
 でもそれに出会うのはとても怖ろしいことで、
 とりあえずは長い悪友──アルコールを使って、
 静かな眠りへと階を降りることにしよう
 きみにさよなら、
 きみにありがとう。

戻る   Point(4)