夢/レタス
トンボや蝶が舞っていて
暖かな風が頬を撫でてゆく
あくびをして
「此処は良い処だねぇ…」
「それはようございました。あちらの東屋に行ってみますか?」
「そうしようか…」
猫は先に歩き
時折ぼくを振り返りホトホトと歩く
東屋には文庫本を読んでいた少年が釣り糸を垂れていた
「こんにちは。何が釣れるのですか?」
「虹色タナゴが釣れるんです」
オレンジ色の玉ウキがピクピクと揺れて
少年は細い竿をシュッ!と合わせると
プルプルと虹色に煌めくタナゴが水面から揚がってきた
少年は針を外すと猫に向かって虹色タナゴを放り投げた
猫は魚にジャレてパクリと飲み込んだ…
そこで薄い幕が揺れて夢から醒めた
隣のベンチに少年の影はなく
ブチ猫もいなかった
あれ… 炬燵にもぐっていた
初出 日本WEB詩人会 2024/02/11
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