うた/そらの珊瑚
 
身体のなかを季節が流れていくように
庭に春がおとずれようとしている
赤い花は生きたまま供物として捧げられ
緑の血液は地に滴り落ちている
土の中にも季節が流れている
人には見えないだけで
歓びや悲しみや
本当の孤独なんかが
音符になって流れている
わたしが埋めた小鳥は
白い骨になり そして謳っているだろう
夏をこがれる虫のために

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