Rend Fou/ホロウ・シカエルボク
 

それは、どこから始まったのかわからなかった、部屋中に蚕の糸が絡みついているかのように白く、いつもそこにあるはずのものを認識することが出来なかった、いつもとは違うにおいがした、あまり適当な例えを思いつかないが、しいて言うのなら―黄泉のにおい、とでもいうような…身体も上手く動かすことは出来なかった、糸が絡みついているのかもしれない、いったいどういうわけだ、俺は直前までしていたことを思い出そうとした、でもどうしても思い出すことが出来なかった、そんなわけがない、たいしたことはしていなかった、でもここは自室であり、いつもと変わらない日常が淡々と繰り広げられていたに違いなかった、でもなにも思い出せなかった
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