久保俊治著 「羆撃ち」を読んで/山人
 
 友人の平井氏からこの本は面白い、と手渡しされた本が「羆撃ち」であった。
 私自身、ツキノワグマを二頭ほど撃ったことがあったが、それはすべてチーム猟であり、どちらかというと撃たせてもらったというべきであろう。ただ、他の猟においては、チーム猟の煩わしさが厭でほぼ単独猟であった。
 「羆撃ち」での著者は、やはり単独猟での猟を身上とし、単独で熊を射止めてきたという。その、「単独」という言葉にひどく心揺さぶられ、読み進めたのであるが、細かい自然描写がなされ、文学作品を読んでいるかのような趣があり、これは最後まで読んで間違いはないだろうという確信を得た。
 まず、筆者は大学を卒業すると同時にプロハンタ
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