まどろみ/凍湖(とおこ)
 
闇のなかへ祈りをポンと放り込む
どこか奥のほうでぱしゃん、と水の音がする

跳ね返ってくるかすかな水音が
応えなのだろう
それを紐解いたりはしないけど


冷える夜に丸くなって眠る
横たわるわたしのかたわらに懐かしい気配
よく揉んだ紙のような皺だらけの手
そこは亡くなったあなたの家で
わたしのために夕飯を作って待っている

いなくなった人はどこにいるのだろう
わたしが祈りを放り込んでる淵の暗がりに
立っているのだろうか

なにかを言いたいけど
もはや言葉に意味はなく
わたしが眠っているときすぐそばにいる
あなたの顔を見ようと
必死に目覚めようとするその瞬間だけ
わたしとあなたは同じときの流れにいる


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