入退院後の日記/由比良 倖
 
昼食を胃に無理矢理押し込んだ後、主治医の先生に直談判しに行こうかと立ったり座ったりしていたら、急に看護師さんが入ってきて、「退院許可が出ました」と、唐突に、何でも無いみたいに、今すぐ帰っていいという風に、僕の少ない荷物の入った段ボールを、でんと床に置いたので、本当に気が抜けて、嬉しくて嬉しくてならなくなった。
 冷静に考えてみると、家に帰ったからって眠れる訳ではないのだけど、そして実際今、眠ってない訳だけど、どんなに夜が長くても、パソコン(ワープロ機能)と音楽があれば、僕は殆ど無敵の状態になれる、僕の通常の時間軸に戻れる、と、眠れない夜に、情けないことだけれど、つくづく何百回も、そう思った。状況
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