難破船/
レタス
帆柱の帆布(はんぷ)は風に散り
ボロボロになった海図を胸に
白骨化した船長は錆びた剣を掲げ
地獄から呻くようなかけ声でヨーソロー! と
かけ声を響かせた
白骨の水夫たちは深海魚のようにノロノロと甲板に蠢(うご)めき
すでに底をついたラム酒を求め
歌いながら甲板を彷徨った
羅針盤と舵輪は朽ち果て
黄金郷を示すのはボロボロの海図だけで
出港から300年が経っている
いまはもう欲望の海に波もなく
船は月灯りに照らされ
青白く漂うだけだった
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