別離 【改訂】/レタス
 
秋過ぎて
名残の風は
漂泊の
想いで刻む
たむけ花

荼毘(だび)に付したる
骸(むくろ)には
五色に浮かぶ
懸想文(けそうぶみ)

てのひらほどく
文様も
水底(みなそこ)沈む
龍鱗(りゅうりん)に
染むる誓いと
思し召せ

冷たき肩を
かき抱く
かいなはすでに
ちから無く
寄することさえ
儘(まま)ならぬ

行に伏したる
想いにも
甚深無量(じんじんむりょう)を
沈ませて

君がため
我がためにと
塔を建つ

夢寐(むび)の端にも
掛け給え

輪廻の果てに
想いつる
白き蓮華の
君なれば





注)荼毘   火葬
注)懸想文  恋文
注)かいな  腕
注)甚深無量 気持ちが非常に深くその多さが数えられないこと
注)夢寐   眠って夢を見てること
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