まどろみ/レタス
来たんだい」
「トンネルの向こうからきました…」
「ふむ… どうかね。手伝ってくれないかな?」
「何を手伝えば良いのですか…」
「中に大きなハンドルがあるからそれを締めるだけでいいんだ」
「ワシは時計の針を午前零時に直さなければならん」
「わかりました」
「では頼んだよ」
彼は胸ポケットから絹糸を取り出し文字盤に向かって投げ
スルスルと絹糸をたよりに文字盤へと昇っていった
扉の中はランプが灯り
真鍮製の大きなハンドルがあった
ぼくはハンドルを握りしめ ギリッ ギリッ!と回し 汗だくになった
やがてハンドルはカチリと止まり
精密な歯車たちがゆっくりと回りはじめた
扉
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