私が子どもを殺さない理由/佐々宝砂
 
でにスプラッタのブームは終わりつつあったが、宮崎勤のせいで、完全に首を絞められて終わった。私はとても悲しかった。宮崎勤バカヤローこんちくしょークソッタレと心の中で何度も叫んだ。でも、宮崎勤を憎みきれない自分を自覚しないわけにはいかなかった。私のぐちゃぐちゃな私室は彼の部屋とあまりかわりがなかったし、私の本棚はほぼ八割SFとホラーが占めていた。数多くはなかったが、手持ちのビデオは全部スプラッタだった。エロ本もあった。アニメグッズも多少はあった。壁にはアニメのポスターが貼ってあった。つまり私は間違いなくオタクで、ヒトサマに後ろ指さされてもしかたない趣味の持ち主だったのだ。

でも、でも、私は宮崎勤
[次のページ]
戻る   Point(3)