夕景/レタス
月の昇らぬ砂浜に
唐紅(からくれない)の空眺め
忘れた歌を想い出す
衣を染めた白鳥(しらとり)は
空(うつ)ろな波に身をまかせ
還(かえ)る棲家(すみか)を識らぬよう
解(ほつ)れた髪は風に散り
軋(きし)む素足は地に呑まれ
潮にこうべを晒(さら)しゆく
もがりの笛は漂々(ひょうひょう)と
沖ゆく小舟独り待ち
寄せ来る波に魂(たま)洗う
注1)もがりの笛=虎落笛(もがりぶえ)。冬の季語 風が強く柵に当たりひゅうひゅうと鳴るありさま
注2)殯(もがり) 古代に行われた葬送儀礼。腐食し白骨化するまで死を受け入れる儀式をいう
※喪(も)に伏(ふく)し、喪から開けたこと 喪あがりが語源なのかもしれません
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