回帰するときに/あらい
 
重心と境界の結び目の死角に戻ると
視界の陰に連筆があるかのように
風もおきない陽に、ただただ温められる背に

絵模様の眩しさ、美しく飾られた香りも血煙の泡となり
かわいたのどを潤すには、ぬめり、今ここは干上がる。
畝から土塊から水域までが収まらず、為す術もなく
あしたには雨上がり、足はつめたく葦は濡れそぼり、

雨は鈍いまでに溢れ出す
滴り
祟り
あなたへ、
あなたへ、
あなたへ降り暮らす

大きくなだらかな岩盤だ

と奥には遠く、と置くには透る

わずかな無味無臭の一粒の種は、余韻に浸ってさえいる。
浅瀬に出会う瀬は、ゆるやかなせたけより、依り多く、

回帰するときに
わたしはしがみついて
ひととして触れるしゅんかんを、知る。
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