除夜の鐘/レタス
黒曜の空に
梵鐘を撞(つ)く音が満ちている
一年の煩悩を洗い流すように
来る年が平穏であるように
森羅万象に響いている
諸行無常(しょぎょうむじょう) (全ては変化するのだ)
是生滅法(ぜしょうめっぽう) (これは生じて滅する理(ことわり)で)
生滅滅己(しょうめつめつち) (生滅を繰り返したのち)
寂滅為楽(じゃくめついらく) (やがて悟りの境地に至る)
万物はあてどなく彷徨いながら
メビウスの輪を歌いながら
歩いている
素粒子より微塵(みじん)な世界から
宇宙の果ての その果てまでも
すべては生命(いのち)を宿し
流転を繰り返す
悟りは遠いものでもなく
地獄も遠いものでもない
刹那に変転する己の胸中に隠されているのだ
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