青空とレモネード?/朧月夜
 
それぞれ違う。僕の心に入ってくるのは単なる視覚情報であり、君の心に入ってくるのはそれ以上のもの、あるいは、その内奥にあるものだった。

「君は花を描くことは止めてしまったの?」

 僕は、僕が初めて君に出会った時に提示したアイディアについて、たしかめるように聞いてみた。

「花? ああ、青空の絵を描く時には、花を描くこともあるよ。1本だけね。でも、今日の絵には合わないから……」

 君の絵には、やはりキャンバスの下の部分に余白がある。曇り空を描いているだけに、それは余計に際立っていた。

「もう色んな絵がそろったわ。朝焼けの絵、夕焼けの絵、青空の絵、曇り空の絵、夜空の絵、虹の絵
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