青空とレモネード?/朧月夜
 
てみて」

 空を描く画家だけあって、君は雲の種類にも詳しいようだった。僕はよくは分からないがなんとなく納得出来るといった調子で、君の話す言葉を聞いていた。いつか、君が雲の専門家ではないと言ったことを、僕はひそかに後悔している。

「わたしの話、聞いている?」

 と、君が尋ねる。

「聞いていますよ」

 わざと他人行儀な口調で、僕は答えた。

(この子と恋愛関係になることは、やはりないのだろう)

 と、僕は考えていた。それよりもまず、友人というものになれそうもない。僕と君とでは、根本的に生きる世界が違っていた。同じものを見ていても、僕と君の心に入ってくるものはそれ
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