冬のアダージョ/レタス
 
あの日

粉雪が降っていて
黒曜に閉ざされた狭い部屋

ふたり キャンドルを灯し

薄い毛布にくるまって
しがみつくように抱きしめたね

寒いかい…

ううん、大丈夫。

きみは痩せた猫のように
震えていた

冷たいクチビルをあわせ
青白い涙を
ひと粒 ふた粒 流したね

ぼくは透明になってしまい
きみに何もしてあげられなくて

ただ ふたり 抱き合うしかなかった

粉雪の夜

静かな曲が流れてきた

寒い夜
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