冬のアダージョ/
レタス
あの日
粉雪が降っていて
黒曜に閉ざされた狭い部屋
ふたり キャンドルを灯し
薄い毛布にくるまって
しがみつくように抱きしめたね
寒いかい…
ううん、大丈夫。
きみは痩せた猫のように
震えていた
冷たいクチビルをあわせ
青白い涙を
ひと粒 ふた粒 流したね
ぼくは透明になってしまい
きみに何もしてあげられなくて
ただ ふたり 抱き合うしかなかった
粉雪の夜
静かな曲が流れてきた
寒い夜
戻る
編
削
Point
(7)