青空とレモネード?/朧月夜
 
君だけのポリシー、君だけの戦略、そういったものがそこにはあるはずだった。いわゆる、ブランディングというものだ。

 君は何枚か描きかけの絵を見せてくれた。それは、川向こうのビルやマンションが余白になっているもの、河川敷の木が余白になっているものなど、必ず絵の具の塗られていない部分があった。しかし、それを実際の風景と見比べてみると、驚くほどの正確さで描かれているのが分かった。

 君の絵を見ると、そこにないものが、まさしく存在しているかのように見えるのだ。

 一面に雲が描かれている絵もあった。僕は尋ねてみる。

「これは何ていう雲?」

「さあ。高層雲かな。それとも……層積雲、
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