Lの昇天?/朧月夜
 
も寒くはなかった。むしろ温かいくらいだった。あるいは、その日の夜がこの季節ではとりわけ暖かかったのかもしれない。

(なんとなく死ぬ)

 という理由にLはすっかり取りつかれていた。そして、MP3プレイヤーの電源はとっくに切れていた。しかし、イヤホンはそのままつけっぱなしにしていた。耳をふさぎたい。耳をふさいでいれば、やがて何もかもがはっきりしてくるように感じられる。だから、今は何の音も聞きたくない。Lは高揚感さえ覚えながら、そう思った。

 ニュース屋の言葉をもう一度思い出したのは、そんな時だった。

「それがいつのことかも知っている」

 そうだ。わたしは自分がいつ死ぬのか
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