Lの昇天?/朧月夜
も穏やかで、自殺未遂を繰り返してきた人間のようではなかった。後でLは知ったのだが、その人の病名は双極性障害ということだった。一方のLは統合失調症と判断された。
「明るくて良い人ねえ、あなたがいなければ、わたし一日でもこんな病院に耐えられないわ」
とも、婦人は言った。そんな感想が何か意外なことのように、Lは漠然と思っていた。
病院内ではレクリエーションやリハビリテーションもあった。それらは社会に復帰するためのもので、互いのコミュニケーション能力や注意力を身に付けさせようとするものだった。Lは疎外感を感じた。「自分は今まで普通に生活出来ていたはずなのに、何のためのリハビリテーショ
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