消え物/タオル
 
お供えのような小さな菓子を買う

あまくてすぐに溶けてしまう

ころんとしたなまえの。

傘を開くとボンと音がして、腕に吊った菓子箱が少し跳ねる。

タカタカタカと安定したそぶりで行き過ぎる新聞配達夫や

このくらいの雨に動じない子らがさわがしく道を塞いで

ちっとも遠くない道なのに急に遠くて重だるい気分になってしまう。


毎日のケンカやののしりあい、

それでもときどき口に入ってくるおいしいもの
 
守るように取り囲んで、否・取り囲むようにして、

わずかに、わずかに息を入れ替える


味わう舌は乾くから、珈琲なり、お茶なりなんなりと吸い込ませつ
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