無償の愛/由木名緒美
 
無償の愛

という象形を額縁に飾り、鑑賞する

両親から与えられたものは
すべからくだろう

しかし、彗星のように降ってきた

この

無償の愛

という生命体の、網膜にも鼓膜にも脳髄をも無感覚にすり抜ける未知体を

私である、と認識する、この有機物のどこをどのように鋭敏化すれば究明出来るのだろう

無償の愛

エンゼルフォールのように空の最果てから地の最果てへと吹き渡る飛沫のように

地球の水脈を浴びて
カプセルホテルの中に居るような空間認識もなくぽかんと空を見上げているだけの私、

滝になりたいと洗面所の蛇口を捻っても
三角形の陶器はすぐに溢
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