永らえる夜の中で/ホロウ・シカエルボク
 

阿片が微かに香る七月二十五日の秘密の船着き場で一人の男が二人の男に殺され、身ぐるみを剥がれて海に投げ込まれた、雨の前の湿気がそこら中に立ち込めている寝苦しい夜だった、殺された男は異国育ちのいけ好かないヤサ男だったが、女には人気があった、でもそのことと殺されたこととはまったく関係がなかった、殺した男二人はたまたまそのあたりに迷い込んだ旅行者で、一人は大男、一人は小男という、チンピラによくある組み合わせで、ともに小汚い身なりをしていた、その辺で拾ったブロックを幾つか殺した男の身体にきつく縛り付けてから放り投げたのだ、二人はしばらく注意深く海面を眺めていたが、数十分もするともう大丈夫だろうというよう
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