中庸の頬/由木名緒美
 
透き通る光が降りてきて
君の頬を丸く染めた
指折り数えたら
真っすぐ昨日に振り向いて
照れていた「おはよう」が
笑顔で溢れ出る

つがいの鳥は鳴いていますか
細い君の指が苦しそうに折り畳まれて
咳込んでいないか心配で
意地張らないでよと呟く

「好きだよ」

言えた今日はさよならの日
厚い帳が吹き飛んで
何でもない僕達がいた
また呼んでよ
いつでも駆けつけるから
君の側で結局私は丸くなる

見つからなかった神さまが
一瞬で信じられるようになった
あの日 あの時
君が微笑んでくれたから

もう長いこと
伴走してくれているの
人間だった神さまの
言葉の奥で閃いた
無有の庸が混ざり合う
混濁の中で咲く蓮のように
ひとりきり
すっと
佇んで
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