道標にしていた/ワタナbシンゴ
 
味を知る、少し前の歴史の記憶も彼らと共に失われてゆく。


「冬構え」「今朝の秋」「ながらえば」山田太一と笠智衆の三部作がYou tubeにあるので、お昼から立て続けに冬構えと今朝の秋を久しぶりに見ていた。齢をとったせいか、20年前に見たときよりもずっと心に染みる。


どちらも笠智衆の佇まいと表情が素晴らしいし、冬構えのは小林政広監督の名作「春との旅」の脚本がモチーフにしたのではないかと感じた。終わり方も素晴らしかった。


「今朝の秋」は、なんだろう、見終わったあと本当に見てよかったと思った。それぞれの人の思惑や心の揺れが、でも深刻にならず、それでいて生々しく、一つの物語とし
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