沈黙と言葉/ワタナbシンゴ
ののちしばらくの
あゆみがある
それはとどまる
ふりかえる距離が
ふたつの端を
かさねあわせた
夜目にもあやな
跳ね橋の重さなのだ
(石原吉郎『続・石原吉郎詩集』「橋」)
目にも綾な、夜目にもはっきりと見える沈黙と言葉の端と端が重ね合わさった跳ね橋の重み。
言葉を語る傍で、沈黙を掬いとることはできない。むしろその多くは言葉で語ろうとすればするほど零れ落ちてゆく。言葉で語られる側より、沈黙の淵を石原は詩で挑み続けたのだった。
当時吉本隆明らは石原の姿勢を批判した。当事者が権力に対して告発しない姿勢を問うたのだった。しかし石原は一貫して告発よりも沈
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