よくよそ見する子供は今日も/妻咲邦香
郵便配達員のしていた服装を
頭のてっぺんからつま先までも
覚えている限り言葉にしながら
ねえもっと夢のある話をして、とせがむ
そのあと決まって
死ぬって甘いよね、とも言っていた
持ち上げられて落とされて
どっちにしたって怒る、だから
どちらでもない以外は選べなくて
ズルくならなくちゃ、私たち
ヒキョウモノにならなくちゃね、と
同意でも求めるように深爪を気にしてる
地図にない海の黒さを時々思い浮かべては
それは次々と止められていく明け方の夢のようで
並べられた冷たい毛布の上
体内時計を外されて朝の言葉を喋らされる
これから梟の子守りは誰がするんだろね、と
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