love sick 1/ルルカ new
ら、リングをはずした。サファイアが眩しく光っていた。
「こちら、診察券です。順番が来ましたら、お呼びしますので、それまでそちらのソファーにかけてお待ちください。」
「ありがとうございます。」
私に指輪を見られたのが、きまり悪かったのだろう。
私の顔を見て、急いで診察券をとると、ドスンと音をたててソファーに座った。
「ドクター、新患です。カルテ、こちらにおいておきます。」
「ああ。深沢君、ありがとう。」
「いえ。それにしても、最近、失恋患者が多いですね。やはり六月だからでしょうか。」
私は外を見た。雨がぱらぱらと降っている。
窓にはりつくように、紫陽花の花が咲いている。
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