正午/妻咲邦香
おはようを言わない朝もある
おやすみに似合わない夜もあれば
留めておきたくない風景もある
鉄塔を怖がる鳥もいる
拾われて来た子のまま育てられた
白と黒、光と闇、どちらの味方もしなかった
どちらかに行ってしまった人は、黙って見送った
私は裏切り者と呼ばれた
起き抜けにコップ一杯の水を飲み干す
カルキの溶けた軟水は血の味がした
誰の血かわからなかったが
此処では大地で皆繋がっているし
同時に縛られてもいる
だから誰かしらの血であるわけで
私の中に堂々と、ノックも無しに入って来る
そして自由自在にそこら中を歩き回る
最後には私と目合い、生産的な活動に手を染める
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