生きている/由木名緒美
 
友よ

君に捧ぐ

君の生きた城下町

形而上の異なる螺旋状に生まれ落ちた者たちを越えて
一夏を過ごした命の合図

友よ

君に捧ぐ

あまりに美しい場所の風景画に筆が踊るから
此岸は少し難儀なんだと屈託なく微笑んだ

来世では無礼講で抱き合おう
窮屈な美辞麗句を脱ぎ捨てて
腹を割って明かしたはじめての圏外疎通は星の熱源を放って

僕はもう少し此岸の山奥に噎せかえっていたい
青々と脈打つ緑の鼓動にひたいを震わせていたい

好きだよ
無に等しく
眩い菱形が宇宙に辿り着いて

この胸のなか
君が響いている

さようなら
僕の永遠なる純粋

いつでも繋がる魂をワイファイに繋いでおいてくれ
戻る   Point(9)