めーとる/妻咲邦香
それは彼方からやってきた
アントニオ猪木ってやつだ
とても大きな塊で
サンプラーザでの生誕祭
ぼくは警備員だった
客席通路のまんなかあたり
猪木は全速力で走ってきた
ぼくは猪木とぶつかって
見事はじきとばされた
音にならない音がして
ぼくはさんめーとるもふっとんだ
ふっとんでそして夢をみた
大金もちになる夢だ
仲間はステージでうたってた
少しよっぱらいながら
プロレスがいかにすばらしいか
たたえて笑ってうたってた
そんなとき、ぼくはふっとばされていた
さんめーとるもふっとんだ
よんめーとるだったかもしれない
ふっとばされて夢をみた
おんなのこにモテ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)