世界の底で/
静
海と山に挟まれた街の
湾を照らす黄金色の夕日
風の流れる音が聞こえる
鳶の群れが警告を与えている
世界の底にその街はある
虹の彩りが世界を縁取る
空は人の脆さを包みながら
海は人の深い闇を映している
過去は全て瓦礫となって
その潮の深さに洗われていく
海底に潜む鯨がそれを喰らい
人をあるべき姿へと変えていく
ここでの日々を慈しみながら
諦めと哀しみをランプに灯す
貴方はここで全てを喪い
たった一つのモノを取り戻すだろう
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