秋の道で/番田
るのかもしれないのだ。でも、死んではいなかったからわからなかったのだ。例えばもう使われなくなった百貨店の解体前の姿だとか、借り手のいなくなったアパートの姿を思い出させられた。今日も、そんなふうに、生きていた。また、そして、あの場所に行ってみたいと思った。
地元にあったツタヤは、クラスメイトとよく会えた場所だったのだけれど、今はどこだろう。カードゲームをしている少年たちはよく見かけるけれど、店としての利益は出ているのかは謎だった。ネット上で今は言葉を交わしているのかもしれない。そこから土手を上がると、見慣れた川が流れていた。沈んでいく夕日に、なぜ、僕はここで暮らしてきたのだろうかと思った。
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