生の色/あさみ
かた かたん。
取り付けの悪い、古びた窓を開けると、
鮮やかな色が目に飛び込んできたものだから。
かたん
すっと、手を伸ばして
触れようとして 気づいたこと。
かたん か たん
白い、白い、指、手、腕。
強い 風が吹いて
がたん。
嗚呼
もう 春なのだ。
色を失った指を、花弁に伸ばした。
可憐な紅い花は、白い指に乗り、
がた がた がたん
一層強く吹いた 風に乗り、
がたん がたん
踊るように 舞い去っていった。
白い指は 宙を泳ぎ
紅い花は もう いない
がたん がたん
嗚呼
この音は
私から全ての色を連れ去っていったのだ。
停車駅は どこだろうか。
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