旅立ちの詩/ミナト 螢
 
病院が白いということ
全ての記憶に
カルテのような
置き場があること

始まる命と終わる命が
手を振りながら
点滴よりも静かに
空を見上げてしまう

誰かいないか
何か聴こえるか

パタパタと響く
スリッパの音が
賑やかで嬉しい

こうやって
ただ耳を澄ますだけで
三日月の先が
細くなるようだ

昨日より歩いたら
違う景色が見えた

そんな小さなものは
多分レントゲンには映らない

自分だけの光を
弱々しい体に巻いて
ベッドの灯りを消した

それでもまだ
目を閉じるには
早過ぎる
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