路/あらい
 
 それが未来への希望なのか、それとも過去へ払拭する近道なのか。ただ引き返すことは適さない。ひとひとりすれ違うのがやっとの細い路地にある。
「私、とは」
 いや愚問。
 きっと遠くまで響かせる灯りとチカチカと入滅を繰り返すと。ジーというダミ声が頭上から囁き、錆びたシャッター街だと誰かが轟く。
 怖々と射せる無声は嘔吐くよう静寂に落ち、壁を反響し罅割れを埋める水音が耳元を不快感を張り付かせる。陰湿ないがらっぽさと、喉を焼く。この苦しみも煩わしさもすべて生を主張するような飛蚊症に過ぎず、喘鳴を感じさせるこれこそが素晴らしい催事だったはずだ。
 いまさら、歩いても走ってもそのうち十字路に立たされ
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