枳の花──ユウコのために/中田満帆
なにもかもがまったく、
くだらないと嘯きながら、
きみに会えないのを呪った
1年まえ、ぼくは三田にいった
先輩のやってる喫茶店にいったけど、
もう店は閉じていた
もしかしたらきみの消息がわかるかも知れないって
おもったんだけど、だめだった
できたら今年の冬、もういちど挑んでみるさ
襟をゆらしながらきみの町までバスに乗って、たったいちどでいいからきみに告げたい
あまねくものが過去形を執っても、ぼくはここでそのときを待っている
さよなら、ユウコ
いつか会えたらいい
さよなら、かつてのぼくよ
いつまでもそこに立っているがいいさ
枳の花のなかで拡散していくおもい、すべて解き明かされるまえに、
ぼく自身がすべてを解きほぐしてあげるから、待っていろ!
戻る 編 削 Point(4)