極光/大覚アキラ
 
あらいぐまは
ひとりぼっちで北をめざしていました

背中のリュックサックには
リンゴがふたつと
はんぶん食べかけのバナナ
角砂糖が三個

角砂糖は四個ありましたが
波打ち際で洗ったら
あっというまに
溶けてなくなってしまいました

これは洗わないで食べることにしよう
あらいぐまはかたく心にちかいました

あらいぐまは
それほど頭が良くないので
自分がどこに向かっているのか
よくわかっていません

いちめんの星空の下
どこまでも続くまっしろな世界

氷の上を歩き続けてきた足のうらは
すっかり傷だらけで赤くはれあがり
もう痛みを感じることさえありませ
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