様変わり/千波 一也
 


国道沿いの店が
またひとつ閉まるらしい

馴染みの店ではないから
暮らしに困ったりはしないが
こみ上げてくるのは
素直な寂しさだ

どうすることも出来ない
寂しさだ

この街にとって
私の重要さは定かでないが
この街の一部である私を
私は知っている

住み慣れているうちに
この街の一部一部が
私と同じになったことを
私は知っている

見慣れた風景が寂れてしまうのは
私をも寂れさせるようだ

私の何かが失くなるようだ
私が欠けてゆくようだ

行き場のない不安が胸に満ちると
時は逆流を始める

懐かしさに浸りなさい、と
時は巻き戻る
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